「日本茶」と聞くと緑色をしたお茶を思い浮かべる方も多いと思いますが、実は他にも種類があるのを知っていますか?
種類によって味わいが異なるため、日本茶と一言でいっても様々なバリエーションを楽しむことができます。
また日本茶は、飲める場所や買える場所も多いため、お好みの方法で楽しめるのも魅力です。
この記事では、日本茶の特徴と種類、飲み方、日本茶を飲める場所と買える場所を紹介しています。
読めば日本茶について詳しく知ることができますので、日本茶に興味のある方はぜひ最後までご覧ください。
日本茶とは何か
まず、日本茶とはどのような飲み物なのか、その特徴と効能、歴史の説明を通して紹介していきましょう。
日本茶の特徴
「日本茶」とは日本で作られるお茶の総称です。通常、お茶を作るための専用の葉を使って日本茶は作られています。そして、原料として使用される葉のことを「茶葉(ちゃば)」と言います。日本には、様々な種類の茶葉が存在します。
しかし日本では、茶葉以外で作られる飲み物に対しても「○○茶」と呼ぶことがあるため、こうした飲み物も日本茶として扱われます。例えば、麦を原料に作られた麦茶(むぎちゃ)も日本茶の一種として扱われています。
日本茶の効能
日本人は日本茶を日常生活のあらゆる場面で飲みますが、健康目的として飲む人も多くいます。
なぜなら、日本茶の中には健康効果がある種類もあるからです。その健康効果は原料に含まれる栄養素によって引き出されます。
以下は、日本茶を代表する「緑茶(りょくちゃ)」の主な健康効果の一例です。
- 血糖値の上昇を抑える
- 風邪や生活習慣病を予防する
- 虫歯を防ぐ
- 心と体をリラックスさせる
このような日本茶の健康効果に着目し、日本では「特定保健用食品」と呼ばれる国が特定の健康効果を認めている日本茶も販売されています。
最も有名なものが「ヘルシア」と呼ばれる日本茶です。このお茶は内臓脂肪を減らす効果が認められており、お腹の脂肪が気になる日本人の強い味方となっています。
日本茶の歴史
日本茶の歴史は諸説ありますが、奈良時代(710年~794年)にまでさかのぼるといわれています。当時中国へ渡った留学僧が、日本に茶葉を持ち帰ったことから始まったそうです。
当初、茶葉は石臼(穀物を粉にするための道具)で粉末にして飲まれていましたが、後に茶葉にお湯を注いで飲む方法が伝わり、それが日本に広く普及するようになりました。
以来、日本茶は千利休(せんのりきゅう)のような茶人(お茶に精通する人)たちによって確立され、日本を代表する伝統的な飲み物として現在でも親しまれています。
茶葉から作られる日本茶の主な種類
茶葉から作られる日本茶は、茶葉の発酵具合によって次の3つに分かれます。
1. 緑茶(りょくちゃ)
茶葉を発酵させずに作られる日本茶が緑茶です。
「日本茶といえば何?」と日本人に聞くと、多くの人がこの緑茶を挙げるでしょう。
また緑茶は、その中でも製法の違いによって種類が分かれます。
次の6つが代表的な緑茶の種類です。
1-1. 煎茶(せんちゃ)
「茶葉を蒸して揉んで製造する」という最も一般的な方法で作られる。
緑茶独特の渋味や苦味、甘味、旨味がバランス良く飲みやすいのが特徴。
日本で流通している緑茶の大部分を占めるため、日本人がよく飲む緑茶は煎茶といって良い。
1-2. 玉露(ぎょくろ)
直射日光を避けて育てられた茶葉を使う。
渋味や苦味が少なく、旨味が凝縮されている。
高価なため、日本人にとっては「高級な緑茶」の位置づけとなっており、贈り物などに選ばれる。
1-3. 抹茶(まっちゃ)
玉露と同様、直射日光を避けて育てられた茶葉を使う。茶葉は石臼で粉にされる。
甘味と旨味が強いのが特徴。
日本の伝統的なお茶文化「茶道」で飲まれることが多いが、今は抹茶を使ったアレンジドリンクやスイーツが多く出回っているため、煎茶に次いで日本人にとって馴染みが深い。
1-4. 番茶(ばんちゃ)
大きく育って硬くなった茶葉を使う。
さっぱりとしているが、渋味が強いのが特徴。
通常、緑茶はその年の最初に育った「新芽」の茶葉で作られるが、番茶は新芽以降の「番外的な」茶葉が使われるため「番茶」と呼ぶ説がある。
1-5. ほうじ茶
煎茶や番茶の茶葉を水気がなくなるまで強火で熱して(ほうじて)、香ばしさを出した緑茶。
香ばしい香りとさっぱりとした飲み口が特徴。
今の日本では若い人を中心に人気が高く、ほうじ茶を使ったアレンジドリンクやスイーツが多く出回っている。
1-6. 玄米茶(げんまいちゃ)
煎茶や番茶の茶葉に、水気がなくなるまで強火で熱した米を加えた緑茶。
お米の香ばしさとさっぱりとした味わいが特徴。
他の緑茶と比べるとカフェインが少ないため、健康志向の高い日本人に好まれる。
2. 烏龍茶(うーろんちゃ)
茶葉を半分発酵させて作られる日本茶が烏龍茶です。しっかりとした香りと味わいがあります。
使われる茶葉は日本で栽培されることは少なく、多くは中国産の茶葉ですが、緑茶と並んで日本人にとって馴染みのある飲み物です。
原料の茶葉には脂肪の吸収を抑える効能があることからその効能を活かした烏龍茶も販売されており(サントリー「黒烏龍茶」など)、ダイエットや健康目的で飲む日本人もいます。
3. 紅茶(こうちゃ)
紅茶は茶葉を発酵させて作られる日本茶です。
烏龍茶と同様、使われる茶葉はインドやスリランカなど海外産が多いですが、日本産もあります。日本産の紅茶は「和紅茶(わこうちゃ)」とも呼ばれ、親しまれています。
日本で紅茶は、緑茶と同じくらい多く流通しています。
飲食店で食事をするときやカフェでお茶をするときの飲み物として親しまれており、日本人にとっては緑茶と同様、日常生活で欠かせない飲み物という位置づけになっています。
茶葉以外から作られる日本茶の主な種類
茶葉以外から作られる日本茶の主な種類としては、次の6種があります。
1. 麦茶(むぎちゃ)
麦を原料とするのが麦茶です。
日本人にとって麦茶は夏に欠かせません。
夏になると水出し麦茶を作ったり、ペットボトル麦茶を買って冷蔵庫に常備する日本人は多いです。
30度以上の猛暑日が続く日本の夏は汗をかくことが多く、その汗によってミネラルが失われがちになります。麦茶にはミネラルが豊富に含まれているため、汗によって失われたミネラルを補給できるのです。
また麦茶にはカフェインが含まれていないため、水分を多く必要とする夏に飲んでもカフェインの過剰摂取になりません。
冷えた麦茶は、夏は特に美味しいです。夏に日本へ訪れた際には、ぜひ飲んでみてください。
2. 昆布茶(こんぶちゃ)
昆布を原料とするのが昆布茶です。
昆布の旨味を味わえるのが特徴です。商品によっては、少量の塩や梅の風味、粉末状になった茶葉が加わっています。
日本人はどちらかというと調味料として使うことが多いといえます。昆布には旨味成分が含まれているため、特に旨味が重要視される和食を作るときに使うのです。
もちろん飲み物としても美味しいので、気になる方は飲んでみてください。
3. はとむぎ茶
「はとむぎ」という植物を原料とするのがはとむぎ茶です。
麦茶と名前が似ているため麦茶の一種のように思われますが、全く異なる飲み物です。緑茶と麦茶を合わせたような味わいで、クセがありません。
はとむぎには、イボやニキビなど肌トラブルを改善する効果があるといわれているため、美容を意識する日本人女性が好んで飲む傾向があります。
4. どくだみ茶
「どくだみ」と呼ばれる植物を原料とするのが、どくだみ茶です。
独特の匂いと味がするため好みが分かれるのですが、以下のような効能があるため健康目的でどくだみ茶を飲む日本人もいます。
- 生活習慣病の予防
- 冷え症の改善
- 便秘の解消
5. そば茶
そば茶は、日本の伝統的な麺・そばの原料である「そばの実」が原料です。
そばの独特の香りをお茶で味わうことができるため、そば茶が好きな日本人も多いです。
また、次のような効能もあることから、そば茶を健康目的で飲む日本人もいます。
- 冷え症の改善
- 肌の老化の予防
- 便通の改善
6. トウモロコシ茶
トウモロコシ茶は、トウモロコシが原料のお茶です。
トウモロコシ茶も日常に飲むことがありますが、次のような効能もあることから健康目的で飲む日本人も多いです。
- むくみの解消
- 整腸作用
トウモロコシのほんのりとした甘みを感じられるため、トウモロコシが好きな方にオススメです。
日本茶の飲み方
日本茶は、主に次の3つの方法で飲まれます。
1. 急須(きゅうす)を使って飲む
最も一般的なのは、急須(きゅうす)でお茶を作って飲む方法です。「急須」と呼ばれる日本の伝統的なティーポットに茶葉を入れて、そこにお湯を注いでお茶を作ります。
急須はサイズが小さく、主に緑茶を飲むために用いられるのが特徴です。
茶葉は時間が経つと渋味や苦味が強くなることから、急須に入れた茶葉にお湯を注いだら一度で出し切ります。
これによって茶葉の旨味が出されて美味しい緑茶となるため、日常生活でお茶を飲むときはもちろん、お客様をおもてなしするときに出す緑茶は急須を使って作る日本人は多いです。
2. ティーバッグで抽出して飲む
日本茶はティーバッグで抽出して飲む方法もあります。
ティーバッグ1袋はカップ1杯程度に作られているため、わざわざ自分で茶葉を人数分計量しなくて良いですし、計量のミスもありません。
日本茶を初めて飲む場合は、ティーバッグ抽出した方が美味しいお茶を飲めるでしょう。
3. 粉末を溶かして飲む
日本茶は、種類によっては茶葉が粉状で売られていることがあります。この粉にお湯を注いで溶かせば、日本茶を飲めます。
ここまで説明してきた方法では日本茶が飲めるまで時間を要するため、手軽に早く日本茶を飲みたいときは粉末状のお茶を使う日本人は多いです。
日本で回転寿司店に行くと、基本的にこの形式でお茶が提供されます。粉末がテーブルに用意されているので、自分でお茶を作って飲みます。
日本茶を飲める主な場所
日本人にとって日本茶とは、特別な飲み物ではなく日常のあらゆる場面で気軽に飲む飲み物です。
例えば、日本のレストランに入ると、テーブルに案内されて「おひや(冷たい水)」または「温かいお茶」が提供されるでしょう。夏はおひや、冬は温かいお茶が提供されるというのも日本のレストランで良くあるパターンです。
もちろん、その場合、温かいお茶に料金は発生しません。回転寿司店に用意されている粉末の日本茶ももちろん料金は発生しません。
また、多くのレストランでは、食後に「温かいお茶をいただけますか?」と店員にお願いすると、こころよくお茶を持ってきてくれます。この場合も特に料金は発生しません。
ただし、上記のケースではこだわりの茶葉を使用した特別なお茶が提供されることはほとんどありません。もし自分で飲みたい日本茶の種類を選択したり、深い味わいの日本茶を飲みたいならば、カフェやレストランに行って、日本茶を注文するのが良いでしょう。その場合はメニューに掲載されている料金を支払う必要がありますが、特別なこだわりで作られた日本茶を飲むことができるでしょう。
ここでは、日本茶のメニューが用意されており、美味しい日本茶を飲むことができる場所を紹介します。
1. 甘味処(和カフェ)
甘味処(和カフェ)というのは、主に日本茶や和菓子といった日本生まれの飲み物やスイーツを提供しているお店です。
中でも日本人の多くが飲む煎茶は必ずといっていいほど飲むことができ、最近では日本の若者を中心に人気の高いほうじ茶や抹茶もメニューに載っていることが多いです。
日本人は、旅行や外出時に休憩がてらお茶を飲みたいときや、おやつの時間に和菓子とお茶を楽しみたいときに甘味処に行きます。
甘味処は百貨店、ショッピング施設の飲食店フロア、街中などで見つかります。ただし、訪問する地域によってはお店がない場合もあります。甘味処に行ってみたいのであれば事前の確認が必要です。
日本茶を飲める甘味処(和カフェ)の例
2. カフェ
カフェで飲める日本茶の多くは紅茶で、お店によっては緑茶や烏龍茶も提供されています。
緑茶に関しては、甘味処と同様煎茶や抹茶、ほうじ茶が飲めるのが一般的です。抹茶とほうじ茶に関しては、アレンジドリンクを多く見かけます。
日本人がカフェに行くのは、日本茶そのものを楽しむのはもちろん、そのカフェ独自のアレンジドリンクを飲みたいときといっても過言ではありません。例えば、日本のスターバックスに行くと「ほうじ茶ティーラテ」といったほうじ茶のアレンジドリンクが人気となっています。
変わり種の日本茶を飲んでみたいときは、カフェに行ってみると良いでしょう。
日本茶を飲めるカフェの例
3. レストラン
日本のレストランでは、お店によって種類が限定されることもありますが緑茶から烏龍茶、紅茶まで幅広い日本茶が飲めます。
特に「ファミリーレストラン」と呼ばれるファミリー層をターゲットとしたレストランでは、「ドリンクバー」というメニューを注文すれば日本茶を含むドリンクが飲み放題です。
日本人の多くはランチや夕飯といった食事をするためにファミリーレストランへ行き、そのときは必ずといって良いほどこのドリンクバーを注文して様々な日本茶を楽しみます。
日本茶が飲めるファミリーレストランの例
4. 日本庭園
日本の伝統的な庭園「日本庭園」の多くは甘味処があるため、そこで日本茶を飲むことができます。
日本人は観光で日本庭園を訪れ、一休みするときに甘味処へ行くことが多いです。日本庭園の美しい自然と季節感を鑑賞しながら日本茶を楽しみます。
日本茶が飲める日本庭園の例
- 新宿御苑(しんじゅくぎょえん)/東京都・新宿区
- 三渓園(さんけいえん)/神奈川県・横浜市
- 兼六園(けんろくえん)/石川県・金沢市
- 岡山後楽園(おかやまこうらくえん)/岡山県・岡山市
5. お寺
お寺では、緑茶を飲めることが多いです。
お寺と緑茶は密接な関係にあります。お寺と結びつきがある仏教の1つ「禅宗(ぜんしゅう)」において、「茶礼(されい)」と呼ばれるお茶の礼儀作法があるからです。
このため、全てのお寺が該当するわけではありませんが、茶道体験会・お茶会や甘味処が設けられているお寺があり、その場で緑茶を飲めるのです。
日本の伝統的なお茶の礼儀作法を知りながら緑茶を飲んでみたいとき、あるいはお寺を観光したときの休憩時間に緑茶を飲んでみたいときにオススメです。
日本茶が飲めるお寺の例
- 築地本願寺(つきじほんがんじ)/東京都・中央区
- 平等院(びょうどういん)/京都府・宇治市
- 醍醐寺(だいごじ)/京都府・京都市
日本茶を買える主な場所
観光で訪れる地域によっては、日本茶を飲めるお店が見つかりにくいこともあります。
そんなときは、次の5箇所に行くと日本茶が手に入りやすいです。
1. 日本茶専門店
日本茶専門店に行けば、緑茶から烏龍茶、紅茶までたいていの日本茶が買えます。
質が高く高価な傾向にあるため、日本人は少し贅沢なお茶を飲みたいときや来客用、贈り物用の日本茶を買いたいときに訪れる機会が多いです。
日本茶専門店は、百貨店、ショッピング施設の食品売り場、街中などで見つけることができます。
本格的な日本茶を飲んでみたい時や、お土産用の日本茶を買いたい時に最適なお店です。
日本茶専門店の例
2. スーパーマーケット
スーパーマーケットでは日本茶専門店と同様、緑茶から烏龍茶、紅茶まで幅広い日本茶が並びます。茶葉やティーバッグ、粉タイプ、そして缶やペットボトル、紙パックなど様々な形態で日本茶が売られています。
日本茶専門店と比べると質が異なりますが、リーズナブルな価格で日本茶を手に入れることができるのが魅力です。
日本人は、食事のときや休憩時間など普段の生活で飲む日本茶を買いたいときはスーパーマーケットに行くことが多いといえます。
3. コンビニエンスストア
日本茶専門店やスーパーマーケットと比べると品数は減りますが、コンビニエンスストアでも買えます。
外出先で飲み物が欲しくなったとき、コンビニエンスストアに行って日本茶を買う日本人は多いです。
缶やペットボトル、紙パックの形態で売られていることが多いため、お好みに合わせて観光先で日本茶を飲みたいときにオススメです。
4. ドラッグストア
意外かもしれませんが、日本茶はドラッグストアでも売られています。
また、特定の健康効果が認められている日本茶も売られています。日本人がドラッグストアに行くのは、特定の健康効果が認められている日本茶を買いたいときといっても良いでしょう。
一般的な日本茶は食料品コーナー、特定の健康効果が認められている日本茶はサプリメントといった健康食品があるコーナーに並んでいることが多いです。
特定の健康効果のある日本茶は、日本ならではなので興味のある方も多いでしょう。気になる方は、ドラッグストアに足を運んでみてください。
5. 自動販売機
自動販売機でも日本茶を買えます。自動販売機によってラインナップは異なりますが、緑茶から烏龍茶、紅茶まで幅広い日本茶が並びます。中でも緑茶は、たいていの自販機に必ずといっていいほどあります。
自動販売機は、街中のいたるところにあります。外出先で飲み物が欲しくなったとき、近くにスーパーマーケットやコンビニエンスストアがなければ自動販売機を探す日本人は多いです。
訪問先で日本茶を買えるお店がなければ、自動販売機を探してみると良いでしょう。
まとめ
日本茶は日本で作られるお茶のことで、様々な種類があります。
日常的に飲む飲み物ではありますが、健康効果もあるため元気な体作りのためにも飲まれる万能なお茶です。
甘味処といった気軽に立ち寄れるお店からお寺といった伝統的な施設まで、幅広い場所で飲めるのも魅力でしょう。
また、買える場所も日本茶専門店から自動販売機まで豊富なため、手に入りやすいところも嬉しい点です。
日本に訪れたら、ぜひ色々な日本茶を味わってみてくださいね。
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