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お寺

日本のお寺の特徴

日本のお寺は、日本で信仰されている仏教の施設です。

仏様(ほとけさま)と呼ばれる人が祀られており、一般的に日本人はこの仏様を拝むためにお寺へ行きます。

この記事では日本のお寺の特徴や、お寺へ訪れたらできることを紹介しています。

読めば日本のお寺についての基礎知識を得られるので、日本のお寺について知りたい方ははぜひ最後までご覧ください。

日本のお寺とは

日本のお寺は、仏教の施設です。

仏教はインドの「仏陀(ぶつだ)」と呼ばれた人によって開かれた宗教で、「世界三大宗教」の1つとして知られています。

日本に仏教が伝わったのは538年頃です。その後、飛鳥時代(592年~710年)に活躍した政治家である聖徳太子(しょうとくたいし)によって、日本全国へと広がったといわれています。

その後、仏教は様々な僧侶によって新たな宗派が生まれ、日本独自の仏教として人々の信仰を集めるようになりました。

そんな日本独自の仏教の教えを広めたり、仏教において最高位の「仏様」と呼ばれる人を祀ったりしているのが、日本のお寺です。

日本のお寺は「○○寺」と呼ばれるのが一般的ですが、中には「○○寺院(じいん)」や「○○大師(たいし)」、「○○堂(どう)」という名称のお寺もあり、お寺によって呼び方は変わります。

日本のお寺に祀られている仏様とは

日本人がお寺に行くのは、前述した「仏様」と呼ばれる人を拝む目的であることが多いです。

仏様というのは、次のような人をいいます。

仏教の各宗派の信仰対象となる人

仏教の各宗派の信仰対象となる人を仏様といいます。

日本の仏教には様々な宗派があり、お寺はその宗派ごとに建てられています。その宗派で信仰対象となる仏様をお寺に祀っているのです。

たとえば、東京で最も古い浅草寺は、聖観音宗(しょうかんのんしゅう)という宗派で信仰対象となっている「聖観世音菩薩(しょうかんぜおんぼさつ)」という仏様が祀られています。

故人(ご先祖様や亡くなった家族など)

仏教において仏様は、故人のことも指します。「亡くなった人は仏様となる」という考えが仏教にあるからです。

お寺によってはお墓があり、そのお墓にはご先祖様や亡くなった家族などの故人が仏様として祀られています。

日本人家庭の多くは「檀家制度(だんかせいど)」との関わりで、お寺にご先祖様や亡くなった家族など故人を祀るお墓を持っています。

檀家制度というのは、各家庭が特定のお寺に属して亡くなった家族の葬儀を任せる代わりに「お布施(ふせ)」と呼ばれる金銭を渡してお寺を経済的に支援することです。

この檀家制度は江戸時代(1,603年~1,868年)に始まり、明治時代(1,868年~1,912年)には廃止されているのですが、現在でもその名残があるため、日本人家庭の多くがお寺に故人を祀るお墓を持っています。

日本人にとってお寺とは

日本人にとってお寺は、以下のような位置づけです。

仏様から力をもらえる場所

日本人は、自分の願いを叶えたいときや人生の節目など特別な時期を迎えると、その願いを達成したり、今後の人生をより良いものにしたりするために、仏様の力をもらいにお寺へ行くことがあります。

仏様に会える場所

お寺にお墓を持つ日本人にとっては、仏様となったご先祖様や亡くなった家族などの故人に会える場所でもあります。

お寺のお墓には仏様の遺骨が納められているため、仏様に会いに行く日本人は多いです。

特に故人が現世に帰ってくるといわれる7月~8月の時期「お盆(ぼん)」になると、日本人はお寺に行って仏様に会う習慣があります(この習慣は「お墓参り」といいます)。

仏様が死後の世界で幸せに暮らせるように祈る場所

日本では、人が亡くなると「供養(くよう)」が定期的に行われます。供養というのは、亡くなって仏様となった人が死後の世界で幸せに暮らせるように祈る儀式のことです。

この供養はお寺で行われることもあるため、日本人にとってお寺は仏様となったご先祖様や家族などの故人が死後の世界で幸せに暮らすことを願う場所でもあります。

仏教の教えを聞いて心を清める場所

お寺では僧侶が仏教の教えを人々に説明する機会を設けています。

仏教には心を清める教えがあります。このため、日本人は新しい年の始まりや人生の節目など特別な時期になるとお寺を訪れて仏教の教えを聞き、自分を見つめ直すきっかけを作ることがあるのです。

僧侶が仏教を学んだり修行をしたりする場所

お寺は、僧侶が仏教を学んだり修行をしたりする場所でもあるため、日本人はそのイメージも強く持っています。

先祖代々の継承によって僧侶になる人が一般的な一方、そうでない日本人でも仏教を熱く信仰している人は自ら望んで僧侶になり、お寺で修行を積みます。

日本のお寺の構造

一般的に日本のお寺は次の構造で成り立っています。

山門(さんもん)

お寺の入り口にある門。
仏様のいるエリアと現実の世界を分ける役割がある。

法堂(はっとう)

僧侶が仏教の教えを説明したり、指導したりするために使われる建物。
お寺によっては講堂(こうどう)と呼ばれる。

本堂(ほんどう)

訪問客がお寺へ訪れたときに参拝する場所。
仏様の像(仏像)が置かれている。ここでいう仏様は仏教の信仰対象となる人であり、故人ではない。

仏塔(ぶっとう)

仏様の遺骨などを納めている場所。
ここでいう仏様は仏教の信仰対象となる人。

墓地(ぼち)

仏様となった故人の遺骨が納められているお墓がある場所。お寺によっては存在しないこともある。
日本人がご先祖様や亡くなった家族など故人に会うときは、この墓地を訪れる。

日本のお寺では何をする?

お寺で日本人が行うことは、主に次の9つが挙げられます。

参拝(さんぱい)する

参拝とは、お寺を訪れて仏様を拝むことです。「拝む」というのは、仏様など高貴な人に敬意を示して祈ることをいいます。

日本人は何を拝むのかというと、主に次の2つが挙げられます。

自分の願い

1つ目は、自分の願いです。

日本人の多くは、自分の願いを実現する力を仏様からもらうために参拝します。

たとえば、日常生活をトラブルなく穏やかに送りたいのであれば「何事もなく平和に過ごせる力をください」といったことを拝みます。

仏様への感謝の気持ち

2つ目は、仏様への感謝の気持ちです。

たとえば、日本人は大きな災いを起こすことなく日常生活を送れていると「それは仏様が守ってくれているから」と考え、その感謝の気持ちを拝むことがあります。

祈祷(きとう)する

祈祷というのは、願いに対して期待する結果を得られるよう、僧侶が自分の代わりに仏様に祈ってくれる儀式のことです。法堂や講堂で行われます。

願いごと毎に決められた料金をお寺に支払うと、僧侶がその願いに合わせて祈祷を行ってくれます。

たとえば、日本人の多くは「厄除け(やくよけ)」と呼ばれる祈祷を依頼することが多いです。

厄除けというのは、日本で古来から存在する「厄年(やくどし)」と呼ばれる災いに遭いやすい年齢になったとき、「この歳に大きな災いが自分の身に起こりませんように」という願いを行う儀式です。

祈祷は自分の願いが叶うのを仏様に託すことであるため、日本人はどうしても叶えたい願いがあるときに祈祷を依頼する傾向にあります。

祈祷は、「御祈祷受付(ごきとううけつけ)」などと書かれている場所で依頼できます。

お寺の祈祷料金は、願いごとの種類によって変わりますが3,000円~1万円が目安です。

おみくじを引く

おみくじは、そのときの運試しができる占いのようなものです。

筒のような箱に運勢が書かれた紙が入っており、その箱から紙を引くことでそのときの運が分かります。

日本人は、今自分がどのくらい運を持っているのかを知るのが好きなため、お寺に行ったら必ずおみくじを引くいっても過言ではありません。

おみくじの引き方

一般的に「おみくじ」と書かれた穴の開いた筒のような箱が置いてあります。

その箱の穴の開いた面を下に降ると占いの結果が書かれた紙が出てきます。これがおみくじです。

1回100円程度で引けるので、ゲーム感覚で楽しんでみてください。

おみくじに書かれていること

一般的にお寺のおみくじにはこのようなことが書かれています。

  • 全体の運勢
    書かれているのは、一般的に大吉・吉・中吉・小吉・末吉・凶・大凶の7つのいずれか。
    大吉が一番運勢が良く、大凶が最も悪い運勢
  • 項目別の運勢
    恋愛や学問、転居、待ち人(自分のことを待っている人)など項目別の運勢
  • 漢詩
    中国から伝わった詩。おみくじの漢詩は、仏様からのお告げといわれている

おみくじを引いた後に日本人がすること

引いたおみくじを持ち帰る日本人もいますが、中にはお寺にある木などにおみくじを結びつける人も多くいます。

木に結ばれているのは、全体の運勢が大凶のおみくじがほとんどです。大凶は最も悪い運勢のため、日本人はその悪い運気を結んで留めるために木に結びつけ、持ち帰ることはあまりしません。

悪い運勢のおみくじを引いて持ち帰るのをためらう場合は、木に結んでも良いでしょう。

お守りを買う

お守りというのは、仏様を宿らせたラッキーチャームのようなものです。

日本人はお守りも好きです。仏様が宿っているお守りを持っていると、そのお守りが自分に力をくれたり、守ってくれたりすると信じる日本人が多いのです。

お守りの種類はお願いごとに分かれています。以下は、お守りの種類と日本人のお守りの扱い方の例です。

  • 厄除けのお守り
    ・新しく迎えた年が厄年にあたるとき、バッグなどに入れて持ち歩く
    ・厄年にあたる親戚や友人など親しい人にプレゼントする
  • 無病息災(むびょうそくさい)のお守り
    病気をしないように自分や家族のために買い、バッグなどに入れて持ち歩く
  • 金運のお守り
    自営業の人が商売繫盛を願って、財布に入れて持ち歩く

お守りは、1つ500円~800円が目安です。

自分の願いが叶うように仏様に見守ってほしいときや人生の節目を迎えた親しい人に買ってみてはいかがでしょうか。

供養(くよう)を行う

供養というのは、前述した通りご先祖様や亡くなった家族などの故人が死後の世界で幸せに暮らせるように願う儀式のことです。

供養には色々な種類があり、お寺において日本人家庭が必ずといっていいほど行うのは、僧侶がお経を読んで供養する「敬供養(きょうくよう)」です。

敬供養は、通常亡くなって49日後と1年後、3年後など特定の日に行われます。敬供養が行われる日は、日本人は家族や親族など故人と近しい人をお寺に集めて故人を偲び(しのび)ます。

修行体験をする

お寺によっては、僧侶が実際に行っている修行を一般人が体験できることがあります。

体験できる修行の種類はお寺によって異なりますが、一般的には以下のものが多いです。

  • 坐禅(ざぜん)
    姿勢を正して座り、瞑想すること。自分自身の心を見つめ直すために行う修行
  • 法話(ほうわ)
    僧侶におる仏教の教えを聞くこと。仏教の教えを理解するための修行
  • 精進料理(しょうじんりょうり)
    仏教の戒(いましめ)に基づいた料理のこと。言葉を発さず食べることだけに集中しなければならないため、仏教においては修行の1つとなる
  • 写経(しゃきょう)
    仏教の教え「お経(きょう)」を書き写すこと。書くことで精神を統一させるための修行
  • 作務(さむ)
    雑巾がけ(ぞうきんがけ)や掃き掃除(はきそうじ)などの労働のこと。清らかな心を持つための修行

修行の内容によって1日、あるいはお寺の宿泊施設「宿坊(しゅくぼう)」に一泊して体験することもあります。

日本人がお寺で修行体験をするのは、心を鍛えたいときといえます。

僧侶が実際に行う修行の体験ではありますが、その内容は少しハードです。ハードな修行体験だからこそ、乗り越えた後には心が強くなるため、気持ちが弱まっているときに修行体験に行くのです。

興味があれば、訪問する地域のお寺で修行体験を実施しているかをお寺の公式サイトなどで確認してみると良いでしょう。

お寺での修行体験料金は、1日の日帰りだと4,000円~5,000円、宿泊の場合は9,000円~1万円前後が目安です。

茶道(さどう)体験をする

茶道というのは、日本の伝統的なお茶の芸道のことです。一部の仏教ではお茶の礼儀作法があるため、お寺によっては茶道を体験できます。

お寺での茶道体験の醍醐味は、静寂な雰囲気の中で日本の伝統的なお茶を味わえることです。

茶道で大切な精神の1つ「どんなときでも動じない」を極められるのも魅力といえます。

日本の茶道については「日本の茶道とは?歴史や作法、体験できる場所を紹介」で紹介しています。茶道について詳しく知りたい方はご覧ください。

坐禅(ざぜん)体験をする

坐禅というのは、姿勢を正して座って瞑想する修行の1つです。

坐禅は修行体験の1つではありますが、お寺によっては坐禅単独で体験できることもあります。心を休ませて日々のストレスから解放されたいとき、日本人は坐禅のみを体験するといって良いでしょう。

お寺によって坐禅の体験実施有無が異なるため、体験してみたいのであれば興味のあるお寺の公式サイトなどで確認してみてください。

坐禅体験料金は、2,000円前後が目安です。お寺によっては無料の場合もあります。

写経(しゃきょう)体験をする

写経というのは、仏教の教え「お経」を書き写す修行の1つです。

写経も修行体験に含まれていることもありますが、単独で体験することも可能です。書くことは感情を浄化させる効果があるといわれるため、日常生活で直面したネガティブなことを忘れたいときに写経のみを体験する日本人もいます。

お寺によって写経の体験実施有無が異なるため、体験してみたいのであれば興味のあるお寺の公式サイトなどで確認することをオススメします。

写経の体験料金は、2,000円前後が目安です。

まとめ

日本のお寺は、日本で信仰されている仏教の施設です。

日本人にとってお寺は信仰している仏様から力をもらったり、仏様に会えたりする場所で、精神的な支えとなっています。

この記事を読んでお寺にますます興味が沸いてきましたら、ぜひお寺へ足を運んでみてください。

おすすめのお寺は「日本に行ったら訪れたい!おすすめのお寺ベスト15」で紹介していますので、訪れるお寺選びの参考になれば幸いです。

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