「日本のお寺と神社の違いって何だろう?」
この記事を読んでいる方は、このような疑問を持っているのではないでしょうか。
お寺と神社は似ているところもありますが、実は別の役割りを持つ宗教施設です。
この記事では、日本のお寺と神社の違いを7つの視点で紹介しています。読めば日本のお寺と神社の違いを十分に理解でき、両者の観光もより一層楽しめるでしょう。ぜひ最後までご覧ください。
日本のお寺と神社で違うところ7つ
日本のお寺と神社は、次の7つの点で違いがあります。
信仰する宗教
日本のお寺と神社はどちらも宗教施設ではありますが、最も大きな違いは信仰する宗教が異なるというところです。
お寺の場合
お寺で信仰されている宗教は「仏教」です。
仏教はインド発祥の宗教ですが、その教えが日本に広まると複数の僧侶によって新たな宗派が生まれ、日本独自の仏教として日本各地に広まりました。
日本のお寺は、日本独自の仏教を信仰している宗教施設となります。
神社の場合
神社で信仰されている宗教は「神道(しんとう)」と呼ばれる日本独特の宗教です。
神道というのは、古来の日本人が生み出した日本独自の宗教です。古来の日本人が持っていた「自然には人間に恵みを与える力がある」という考え方が基になっています。
この考え方は、仏教が日本へ伝わる前から存在していました。仏教が日本へ伝わると、仏教と区別するために「神道」と名付けられたといわれています。
日本の神社は、日本独特の宗教である神道を信仰している宗教施設となります。
信仰対象
お寺は仏教、神社は神道と、それぞれ信仰する宗教が異なるため、当然ながら信仰対象も異なってきます。
お寺の場合
仏教の信仰対象は「仏様」です。そのため、お寺では仏様を祀っています。
仏教における仏様とは、以下のものを指します。
- 仏教の各宗派の悟りを開いた人
- 故人(仏教では、人は亡くなると仏様になると考えられている)
神社の場合
神道の信仰対象は「神様」です。そのため、神社では神様を祀っています。
神道における神様とは、以下のものを指します。
- 山や森、海、風などの自然に宿る神様
(これら様々な神様を総称して、「八百万の神(やおよろずのかみ)」と言う) - 亡くなった日本の皇室一族
(日本の皇室一族の始祖は、神道における最高位の神様「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」と考えられているため、皇室一族は神様に近しい存在として捉えられる) - 亡くなった功績者
(神道では、偉大な偉業を成し遂げた功績者は畏敬の対象であり、死後は神様になると考えられている)
呼び方
日本のお寺と神社は、呼び方にも明確な違いがあります。
お寺の場合
お寺は、「○○寺(でら/じ)」と呼ばれるのが一般的です。
他には「○○院(いん)」や「○○大使(たいし)」、「○○堂(どう)」、「○○不動尊(ふどうそん)」とも呼ばれます。
【お寺の呼び方例】
- 浅草寺(せんそうじ)
- 長谷寺(はせでら)
- 高徳院(こうとくいん)
- 川崎大師(かわさきだいし)
- 三十三間堂(さんじゅうさんげんどう)
- 高幡不動尊(たかはたふどうそん)
神社の場合
神社は、「○○神社(じんじゃ)」と呼ばれるのが一般的です。
他には「○○神宮(じんぐう)」や「○○宮(ぐう)」、「○○大神宮(だいじんぐう)」、「○○大社(たいしゃ)」、「○○社(やしろ)」とも呼ばれます。
【神社の呼び方例】
- 厳島神社(いつくしまじんじゃ)
- 明治神宮(めいじじんぐう)
- 鶴岡八幡宮(つるおかはちまんぐう)
- 東京大神宮(とうきょうだいじんぐう)
- 出雲大社(いずもたいしゃ)
- 幸神社(さいのかみのやしろ)
見た目
日本のお寺と神社は、見た目にも違いがあります。
見た目が大きく異なるのは「入口」と「信仰対象が祀られている建物」の2つです。これら2つを見れば、お寺と神社の違いがはっきり分かります。
入口
お寺の入口には「山門(さんもん)」と呼ばれる建物があります。
屋根付きの二階構造になっているのが一般的です。
一方、神社の入口にあるのは「鳥居(とりい)」と呼ばれる建物です。一般的に赤一色で染まっており、山門と比べるとシンプルな造りになっています。
信仰対象が祀られている建物
お寺では、通常「本堂(ほんどう)」と呼ばれる建物に仏様が祀られています。中には、提灯(ちょうちん)や傘に似た煌びやかな天蓋(てんがい)などの装飾があるのが一般的です。
一方、神社では、「本殿(ほんでん)」と呼ばれる建物に神様が祀られています。神聖なエリアと現実の世界を分ける縄「しめ縄」が飾られているのが一般的です。
参拝方法
参拝方法も、お寺と神社では異なります。
お寺の場合
山門の前で合掌をしながら一礼し、くぐる。
敷居(山門の下にある溝が彫られた横木)を踏まずにくぐるのがマナー。
手水舎(ちょうずや)で右手に柄杓(水をすくうための道具)を持ったら、左手→右手→口→杓(柄杓の先についている水を入れるところ)の順に洗う。
常香炉(じょうこうろ)があればお線香を供えて、手で風を送りながら煙を受ける。
参拝場所に向かったらお賽銭を入れ、合掌をしながら一礼してお願いごとをする。
再度一礼したら参拝は終わり。
※行列があったら最後尾に並び、順番を待つ。
※お賽銭の金額はいくらでも良い。日本人はよく5円玉を入れる。
神社の場合
鳥居の前で一礼したらくぐる。
鳥居をくぐった後にある参道は、端を歩くのがマナー。
手水舎(ちょうずや)で右手に柄杓を持ったら、左手→右手→口→杓の順に洗う。
参拝場所に向かったらお賽銭を入れ、深いお辞儀を2回、胸の前で拍手を2回したらお願いごとをする。
最後に一礼したら参拝は終わり。
※行列があったら最後尾に並び、順番を待つ。
※お賽銭の金額はいくらでも良い。日本人はよく5円玉を入れる。
結婚式
日本のお寺と神社では結婚式も行われます。どちらも日本ならではの結婚式ですが、挙式の内容が違います。
お寺の場合
お寺での結婚式は「仏前式(ぶつぜんしき)」と呼ばれます。
仏前式は「結婚したら死後の世界まで連れ添う」という仏教の教えに基づいて行われます。
先祖代々付き合いのあるお寺や新郎新婦の自宅にある仏様の前(仏壇の前)で、新郎新婦が死後の世界でも結びつくことを誓います。
神社の場合
神社での結婚式は「神前式(しんぜんしき)」と呼ばれます。
神前式は「結婚とは、新郎新婦の両家族をつなげること」という神道の考えに基づいて行われます。
先祖代々付き合いのある神社や新郎新婦の自宅にある神様の前(神棚の前)で結婚を報告し、神職と巫女が縁結びの儀式を行います。
存在する数
文化庁(日本文化の振興に関わる政府機関)の調査によると、日本国内にお寺は約7万7千、神社は約8万あるようです(2021年時点)。神社の方が3千ほど多く存在していることが分かります。
日本には47都道府県ありますが、各都道府県には必ずお寺と神社があるといっても過言ではありません。市町村によっては、お寺と神社が複数存在することもあります。
まとめ
お寺と神社の違いについて理解できましたでしょうか?
実は、日本人でさえお寺と神社の違いをきちんと説明できる人は少ないと言われています。ここで紹介した内容を日本人に説明すれば、きっと驚かれることでしょう。
日本のお寺と神社は似た印象を持つかもしれませんが、異なる役割りを持つ宗教施設です。最大の違いは信仰している宗教および信仰対象が異なることです。他にも、呼び方、見た目、参拝方法、結婚式、存在する数などが異なっています。
日本のお寺と神社へ訪れる機会がありましたら、ぜひここで紹介した違いを思い出して観光してみてください。
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